最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)115 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人大塚喜一郎同設楽敏男の上告趣意第一点について。
原判決が詐欺罪として起訴された事実を横領罪と認めて被告人を処断したことは
所論のとおりである。しかし起訴された事実が同一である限り詐欺罪として起訴さ
れた事実を横領罪として問擬してもこれを違法と言うことはできないのである。そ
して本件において被告人に対する公訴事実と原判決が横領罪として認定した事実と
はその事実関係において全く同一であると認めることができるのであるから原判決
には何等違法の点なく、論旨は理由がない。
同第二点について。
よつて原審公判調書を調査すると「裁判長は合議の上右弁護人の証拠請求は全部
之を取調をしない旨を告げ事実並に証拠調済の旨を告げた」という記載があつて恰
も原審公判廷において弁護人がした証拠申請全部を却下したように見えるが右記載
の直前に「裁判長は右弁護人が提出した領収書二通を列席判事並に立会検事に順次
閲覧せしめて本件記録に添付する旨を告げ証人については御意見を賜り度いと告げ
た、検事は然るべくとの意見を陳述した」との記載があるところがら見れば原審に
おいては弁護人申請の証拠中右領収書二通は本件証拠物として採用し所論の証人申
請はこれを却下した趣旨であることは明白である、所論は原審が右領収書二通の証
拠申請を却下したものであるとの誤解に立脚する立論であるから論旨は理由がない。
よつて刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条により主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見である。
検察官 橋本乾三関与
昭和二四年七月二日
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最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
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